2015年11月17日火曜日

平の将門

平将門と聞くと“帝都物語”を思い出す。
映画化され、嶋田久作演じる“加藤”が、将門の怨念で帝都東京を壊滅に追いやる話。
「我を崇めよ」
この言葉、流行語になったような…。
でも、今まで平将門がどんな人物かは知らないでいたのでした。
*   *   *
父の良持が死んでしまった。
小次郎(将門)は十四。
叔父たちは冷たい。
慰めは牧馬と奴婢の蝦夷萩だけだった。

叔父の国香は暗殺を企む。
それを救ったのは菅原道真の息子・菅原景行だった。

叔父たちの策謀で京へ。
素直というより愚鈍な小次郎。
着くや否や、強欲な尼に騙され賊に売られる。
そこで出会ったのは八坂不死人。
後に狼友となる。

左大臣・藤原忠平に仕える。
…が、牛車を洗う仕事から上へ行かない。
苦学し紆余曲折。
知恵もつく。
叔父の策謀にも、ようやく気づき涙する。

藤原忠平は七光だけ。
人妻をさらって囲っていた。
ある日その壺が襲われる。
たまたま目撃した小次郎。
その賊のなかには不死人がいた。
不死人と密談。
忠平の弱みにつけ込み交渉。
おかげで青侍となる。

賊仲間に藤原純友も。
知り合いとなる。

忠平の弱みをにぎった小次郎。
煙たがられる。
滝口の衛府に任地替え。
時は過ぎる。

久しぶりに純友と会う。
不死人が行方不明…死んだのか…。
叡山に登り酒を酌み交わす。
純友は伊予、小次郎は坂東。
それぞれ都を正そうと誓いあう。

帰国。
“小次郎”から“将門”に。
弟達は不甲斐ない。
父の領地は、ほとんど叔父たちのもの。
憤慨。
交渉。
フルボッコ。
這々の体。
父の代から野霜の具足師の家で傷を癒やす。
そこの娘・桔梗に惚れるのだった。

豊田に帰ると狼友が待ちわびていた。
不死人は“叡山の約”を持ち出す。
「西は純友。東でも気勢をあげろ」と言う。
不死人は資金集めに東北へ。

常陸源氏の息子たちは恋敵だ。
野霜の桔梗を狙っていた。
将門は先手を打つ。
弟たちと相談し桔梗を誘拐。
もちろん具足師の翁たちと申し合わせの上だ。
桔梗も“喜んで”さらわれたのだった。

常陸源氏と平の叔父たちが結託し
魔計を画策。
「父の十七回忌」と偽り、将門をおびき出す。
罠と知った将門は激怒。
民意も将門に味方。
逆に押し返す。
常陸源氏の勢力も削ぎ落とす。
一番上の叔父の平国香も討死。
形勢は逆転する。

国香の息子・常平太貞盛は京で訴訟。
将門は再び上京す。
弁舌豊かな貞盛。
対して将門は口が回らない。
宿に戻り後悔しきり。
だが、あっけなく勝訴。
実は、不死人のおかげだった。
東北で集めた金を、使ってくれたのだった。

晴れて帰国。
将門は幸せだった。
逆に桔梗はこの幸せを不安がった。
その予感は的中する。

叔父の良兼が攻めてきた。
将門は乗り気でない。
実は脚気を患っていたのだ。
守勢にまわり、とうとう豊田を捨て落ちる。
桔梗たちと別れ、洞穴ぐらし。
脚気が悪化。
それを救ったのはまたしても菅原景行だった。
薬事を得て、みるみる回復。
そんな矢先、桔梗たちが隠れるの蘆荻が襲われたの知らせが。
将門発狂。
ここから歯車は狂いはじめたのか…。
*   *   *
この小説では“呪い”の類は見られない。
将門伝説は数多くあるらしく、それだけ民衆に愛されていたとも言えるようだ。
実直だが、祭り上げられてしまった将門。
本人は、桔梗とその子どもと暮らす、平凡な日々を欲していただけなのに…。