2015年12月6日日曜日

早雲の軍配者

伊豆・相模を制した伊勢宗瑞(早雲庵)。
国に善政を布く。
民に“韮山さま”と呼ばれ慕われていた。
年を取り先を見据えたとき、孫の千代丸(後の氏康)に軍配者を欲す。
それを韮山の香山寺に見出す。

その小太郎は寺男。
父は“風間党”の棟梁だった。
しかし、その父母は早くに亡くなる。
それからは妹の奈々との暮らし。
決して恵まれた境遇ではない。
叔父は小太郎をよく視ていない。
命を狙われる。
救ったのは、宗瑞を尊崇する伊奈十兵衛だった。

宗瑞に軍配者にと見出された小太郎。
足利学校に修行へ。
旅の途中、護衛役の十兵衛が熱で倒れる。
進退窮まった。
助けてくれたのは、山本勘助とその家来。
運ぶために知恵をしぼったのは下人の四郎佐。
勘助も足利学校を目指していた。
ひとまず十兵衛を村まで連れて行く。
しかし、その村は“盗賊の村”だった。
四郎佐の忠告も聞かず、勘助たちは名主邸へ。
十兵衛たちは危惧し別行動をとる。
そして、なんとか四郎佐と共に村を脱出するのだった。

四郎佐は“山本勘助”に成りすまし、足利学校へ。
そこで出会ったのは曽我冬之助。
冬之助は、扇谷上杉氏の軍配を預かる曽我兵庫頭の孫。
小太郎とは敵同士。
だが、法体の身では学友同士となった。

山本村から使者が。
四郎左の偽装がばれる。
そんななか、宗瑞が死んだという報せ。
韮山へ戻ることに。
冬之助の機転で四郎左を救出。
その足で三人は韮山へ。

宗瑞の徳を体感した四郎左と冬之助。
帰途、四郎左は京の五山へ。
冬之助は斉藤加賀守に師事することを決める。
小太郎は足利学校へ戻る。

 四年半が過ぎる。
伊勢二代目当主・氏綱は北条氏を名乗る。
鎌倉北条氏の後裔を公言。
これにより、扇谷上杉氏との戦は避けられない。
呼び戻される小太郎。
氏綱の軍配者・金石斎に付くことに。
しかし、軍議で意見したことで反感を持たれる。

 遠ざけられた小太郎。
そんなときふらっと四郎左が訪ねてくる。
同門の四郎左を厚遇する金石斎。
戦にも帯同することに。

 一方、扇谷上杉には冬之助が帰参。
冬之助は早速軍配を揮うことに。
それは、高輪原に北条軍をおびき出すことだった…。
*   *   *
作者はミステリーにも定評のある方で、ウチのカミさんもファン。
正直オモシロイか半信半疑だったが、小太郎の成長が気になって読んでしまった。
“風摩(魔)小太郎”と言えば、“忍者”のイメージだが、ここに出てくる小太郎にはその片鱗は少ししか見えない。
軍師と言えば、秀吉に仕えた“半兵衛”“官兵衛”が有名だが、ここに登場する軍師たちも有名だ。
“風摩小太郎”“山本勘助”“宇佐美定行”この三人がかつて足利学校で共に学んだという設定がおもしろい。
奈々やあずみが、どうなったのかも知りたかったような…。
さて、次は四郎佐“勘助”の出番。

2015年11月17日火曜日

平の将門

平将門と聞くと“帝都物語”を思い出す。
映画化され、嶋田久作演じる“加藤”が、将門の怨念で帝都東京を壊滅に追いやる話。
「我を崇めよ」
この言葉、流行語になったような…。
でも、今まで平将門がどんな人物かは知らないでいたのでした。
*   *   *
父の良持が死んでしまった。
小次郎(将門)は十四。
叔父たちは冷たい。
慰めは牧馬と奴婢の蝦夷萩だけだった。

叔父の国香は暗殺を企む。
それを救ったのは菅原道真の息子・菅原景行だった。

叔父たちの策謀で京へ。
素直というより愚鈍な小次郎。
着くや否や、強欲な尼に騙され賊に売られる。
そこで出会ったのは八坂不死人。
後に狼友となる。

左大臣・藤原忠平に仕える。
…が、牛車を洗う仕事から上へ行かない。
苦学し紆余曲折。
知恵もつく。
叔父の策謀にも、ようやく気づき涙する。

藤原忠平は七光だけ。
人妻をさらって囲っていた。
ある日その壺が襲われる。
たまたま目撃した小次郎。
その賊のなかには不死人がいた。
不死人と密談。
忠平の弱みにつけ込み交渉。
おかげで青侍となる。

賊仲間に藤原純友も。
知り合いとなる。

忠平の弱みをにぎった小次郎。
煙たがられる。
滝口の衛府に任地替え。
時は過ぎる。

久しぶりに純友と会う。
不死人が行方不明…死んだのか…。
叡山に登り酒を酌み交わす。
純友は伊予、小次郎は坂東。
それぞれ都を正そうと誓いあう。

帰国。
“小次郎”から“将門”に。
弟達は不甲斐ない。
父の領地は、ほとんど叔父たちのもの。
憤慨。
交渉。
フルボッコ。
這々の体。
父の代から野霜の具足師の家で傷を癒やす。
そこの娘・桔梗に惚れるのだった。

豊田に帰ると狼友が待ちわびていた。
不死人は“叡山の約”を持ち出す。
「西は純友。東でも気勢をあげろ」と言う。
不死人は資金集めに東北へ。

常陸源氏の息子たちは恋敵だ。
野霜の桔梗を狙っていた。
将門は先手を打つ。
弟たちと相談し桔梗を誘拐。
もちろん具足師の翁たちと申し合わせの上だ。
桔梗も“喜んで”さらわれたのだった。

常陸源氏と平の叔父たちが結託し
魔計を画策。
「父の十七回忌」と偽り、将門をおびき出す。
罠と知った将門は激怒。
民意も将門に味方。
逆に押し返す。
常陸源氏の勢力も削ぎ落とす。
一番上の叔父の平国香も討死。
形勢は逆転する。

国香の息子・常平太貞盛は京で訴訟。
将門は再び上京す。
弁舌豊かな貞盛。
対して将門は口が回らない。
宿に戻り後悔しきり。
だが、あっけなく勝訴。
実は、不死人のおかげだった。
東北で集めた金を、使ってくれたのだった。

晴れて帰国。
将門は幸せだった。
逆に桔梗はこの幸せを不安がった。
その予感は的中する。

叔父の良兼が攻めてきた。
将門は乗り気でない。
実は脚気を患っていたのだ。
守勢にまわり、とうとう豊田を捨て落ちる。
桔梗たちと別れ、洞穴ぐらし。
脚気が悪化。
それを救ったのはまたしても菅原景行だった。
薬事を得て、みるみる回復。
そんな矢先、桔梗たちが隠れるの蘆荻が襲われたの知らせが。
将門発狂。
ここから歯車は狂いはじめたのか…。
*   *   *
この小説では“呪い”の類は見られない。
将門伝説は数多くあるらしく、それだけ民衆に愛されていたとも言えるようだ。
実直だが、祭り上げられてしまった将門。
本人は、桔梗とその子どもと暮らす、平凡な日々を欲していただけなのに…。

2015年10月16日金曜日

鬼平犯科帳(二)

最後のエピソード「埋蔵金千両」。
地名だけだが、わが故郷・信州上田が登場する。
一巻でも“さなだや”というそば屋が出てくる。
池波正太郎が、いかに真田の地を愛していたかが分かる。

そういえば、埼玉の東北自動車道・羽生SA上りにある“鬼平江戸処”には、その“さなだや”があります。

そういえば、最近“刀屋”行ってないなぁ…。
あそこの“大盛り”は、びっくりしますよ。

2015年10月14日水曜日

時砂の王

…で「百年法」の次に読んだのがこれ。
小川一水さんの長編。
前々から彼の大長編「天冥の標」が気になってはいる。
しかし、SF初心者には無理かなぁ。
…ということで読んだのが、この「時砂の王」。
*   *   *
二六世紀。
人類は謎のETに攻撃され滅亡の危機。
すでに地球は亡く、海王星トリトンで命を繋いでいた。
そこで人類は、屈強な人型人工知性体を創造する。
知性体“メッセンジャー”たちは、時間遡行軍を編成。
歴史を書き換えるために過去へと旅立つ。
しかし、ETたちもそれを追撃。
西暦二四六年の邪馬台国。
メッセンジャーたちは、そこで最終防衛戦を張るのだった…。
*   *   *
タイムトラベルもののいいとこ取りにも思われるが、よくある“未来が変わってしまう!?”という現象を、あえてふんだんに取り入れた“逆転の発想”がおもしろい。
いくつもの時間枝が分かれ、もう二度と同じ時に戻ることが出きない、オーヴィルの悲哀が、うまく表現されていたと思う。

2015年10月9日金曜日

君の膵臓をたべたい

いや〜、何を血迷ったのか…。
それも一気読みだ。
この本の存在を知ったのは、朝日新聞の全面広告だ。
ドキッとするタイトル。
キレイなイラスト。
そのギャップとインパクトにヤラレてしまった。
そういう方も多いのではないだろうか?
もうこれは思いっ切り出版社の策略にハマった形だ。
どうやら“ネット”出身の物語らしい。
掘り起こした編集部の方に拍手を贈りたい。

一度は本を手にとった。
しかし、おじさんには、それを持ってレジに並ぶという“ハードル”は高かった。
もう、この物語の世界は、縁のない世界。
一旦は忘却の彼方へ…。

それでも読むことにしたのは、電子書籍の存在だった。
夜読書に最適で、そのまま寝てしまっても勝手に消える。
最近は、スマホで読むことが多くなり重宝している。

…で、血迷ったわけだ。

ストーリーは割愛させていただく。
いろいろな方が感想をアップしているので、そちらをお読みいただきたい。
忘れ去った純粋なものを、少し思い出させてくれた。
とても読みやすく、主人公と彼女の会話が軽妙洒脱。
すぐに物語に入ることができた。
読み進めるうちに、自分の気持ちが“反比例”するのがせつない。
チープな恋愛青春モノと思われがちだが、実は“人”対“人”という、根本的で真摯なテーマも持ち合わせている。
できればいろいろな世代に読んでほしい。

多分…、いや、必ずコレは映画化されるだろう。
正直、フクザツな心境だ。

自分としては、舞台がいいのではないかと思う。
彼と彼女の掛け合いを“生”で見てみたい。
それも本物の高校生で…。
もし、コレを読んだ高校生で演劇に携わっている方がいたら、ぜひ“挑戦”してほしい。
それは“真実”の物語になるかもしれない…。

2015年9月18日金曜日

百年法(上・下)

日本は六発の原爆で降伏。
その後、人類は“HAVI”というウィルスを発見。
不老不死を手に入れる。
しかし倫理的な問題から“百年法”が制定されるに至った。

日本は共和制を布いている。
世の中はもうすぐ“百年法”が施行される。
様々な思惑が渦巻くなか、政府は百年法施行の是非を国民投票に委ねる。
*   *   *
ちょっと歴史モノから遠ざかって、近未来モノを読んでみたりしている。
久しぶりのSF。
著者の着想が面白い。
不老不死が当たり前の世界なのに、何か実世界の問題にも通ずる、倫理や哲学を感じたりして興味深い。
とくに読んでいる今、安保法案の是非で国会がもめている。
そんなときに、この本を読むことになったことは感慨深い。
遊佐の考えに独裁の考えが出くるし、読み進めていくうちに“ローマ人の物語”のカエサルを思い出したのだが、参考文献を見て納得してしまった。
“不老不死”という名で、タイムトラベルSFをやってのけたことにも感服した。
それに解説にもあるように構成が素晴らしい。
行間というか、章間を読ませる感覚は、藤沢周平の“蝉しぐれ”に通じていたと思う。

2015年8月20日木曜日

新書太閤記(全一冊合本版)読了

いや~読み終わるのに、思った以上に時間がかかってしまった。
本を読む集中力が減ってしまったのかなぁ。
*   *   *
清洲会議の後、敵対する秀吉と勝家。
甥っ子の失態で柴田勝家は劣勢。
滅ぶ。

織田次男信雄は家康を頼る。
小牧・長久手の戦い。
池田恒興が奇策で一気に岡崎へ。
しかし途中でバレ討死。
膠着状態。
しかし秀吉は信雄を丸め込み和睦。
ほぼ無条件で。

そして紀州へ。
さらに四国へ。
そして北陸の佐々成政討伐。
ついでといっちゃなんだが上杉の春日山へ顔出し。
そこでは三成と直江が意気投合。

信州は徳川が、上州は北条が。
真田「沼田を渡せん!」
徳川が“かんが川”まで出るが返り討ち。
次男・幸村が活躍。
アレ? 信幸の存在は?

岡崎城代の石川数正。
三河と大坂の間を取り持つも、風当たり強し。
たまらず夜逃げ。
家康「身の不徳かな」
災い転じて軍政改革。
武田流を取り入れる。

大坂から再三上洛要請。
うんざりの家康。
十回以上の最速にキレる。
秀吉「あの徳川殿がな、おもしろい。おもしろい」
大奥に去るその姿は、背の小さなサルではなく、春の潮に去る巨鯨のごとし…。
*   *   *
この後の秀吉を吉川英治は描いていない。
貧相で猿のような日吉は、絢爛な巨鯨の豊臣秀吉に登りつめた。
それは、文字通り日本のサクセスストーリーだ。
この間、三谷幸喜監督の「清須会議」を観た。
大泉洋扮する秀吉はとても小気味良かった。
その秀吉が利家に「これからの戦乱を沈めるのは親父殿(勝家)でない!…」というシーンがあった。
秀吉は長き戦国の世を、民のために平安に導いた。
その意志の根底には、貧しい民への想いがあったのだと思いたい。

2015年5月12日火曜日

勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ

昨年の今頃。
巷はブラジルW杯の話題で持ちきりだった。
しかし、信州松本平だけはそれと肩を並べ、それを凌駕するほどの話題で盛り上がっていた。
松本山雅FCの話題だ。
話題はそれから年末にかけて加速してゆく。
そして、11月1日。
歓喜の瞬間を迎えたのだった。

本書はその年から2年前。
クラブがJリーグ2部に昇格し、反町康治監督が采配をふるうところからはじまる。
いかにして、J2リーグをわずか3年で駆け抜けたかに、スポットを当てた。

そして、五章目の「クラブ創立50周年、そして次の50年へ」。
日本のプロビンチャの未来、地方創世へのヒント、日本サッカー界へ一石を投じる内容だ。

前に「フットボールサミット」でも書いたが、オイラもこのチームに魅了されたひとり。
アルウィン場内に足を踏み入れた瞬間、その雰囲気の虜になった。
決して素晴らしい内容のサッカーではないけれど、魂を揺さぶられる試合の数々。
どんなに素晴らしいかは、文字通り“筆舌に尽くしがたい”だろう。
著者の元川悦子氏は、それでも少しでもその“空気”を伝えたかったに違いないのだ。
改めて、チームは元より、クラブそのものを盛り上げたい気持ちでいっぱいになる。

ほんと〜うに“百聞は一見に如かず”
さぁアルウィンへ‼
緑の劇場で最高の舞台をご覧あれ‼

2015年2月22日日曜日

フットボールサミット第22回 松本山雅FC 街とともにつくる劇場

昨年6月、ひょんなことからアルウィンに足を運び、瞬く間にそのスタジアムの雰囲気に魅了されてしまった。


さて、山雅熱が高じて読んでみたのが本書。
それぞれの熱い思いがつづられている。
喫茶店の小さなアマチュアクラブ。
さらに、何と言ってもサポーターの熱さだ。
2015シーズンからJ1に挑戦する松本山雅。
Jリーグ、引いては日本サッカーに新しい風を巻き起こしてほしい!
最後は勝手なことばかり書き並べてすいません。


昨年6月現在の模様から、それ以前の山雅の足跡を知ることができる。

とくに感じられるもの、それは、山雅のもつドラマ性だ。

北信越リーグからJFLへの死闘。
そして今…。
…松田直樹の存在も忘れてはいけない。

オイラも何度か足を運んだが、あの一体感はどうだろう?
ある一種の羨ましささえ感じる。
それを率いるウルトラスマツモトの活動には敬意を表します。
トップカテゴリーとなっても、上から目線になることなく、初心者や老若男女がいつでも通えるゴール裏であってほしい。

簡単ではないことは、重々承知。
でも、なぜか期待させられてしまう何かが、このチームにはある。

いい意味で日本のプロビンチヤの新しい形を示して欲しい!
そして、自分が死んでも末永く残り続ける、伝統ある強いチームに育っていってほしい!

とにかく応援してます!
Vamo vamos Yamaga!!