実は、年末に図書館に予約してあった。新刊だし人気があるようで、なかなか手元まで届かなかった。
坂の上の雲も先か気になる。
しかし、これはページ数もあまり多くないし、地元周辺が舞台。
すんなり読めるかなと…。
なにせ、図書館に返す期限があるし…。
イレギュラーだが、こちらを先に読ませてもらおう。
* * *
ときは、戦国乱世まっただ中の中信濃。
北越を長尾景虎が統一。南は武田晴信が諏訪を切り取っていた。
保福寺峠(松本市−青木村)。
青木方面へ帰る、豪族・遠藤吉弘の姫・若菜。
若菜は、ひばりの巣を観察する巨漢・石堂一徹と出会い、屋敷へ招く。
石堂一徹の豪勇は、信濃一円に鳴り響いていた。
が、この男、ただの暴勇ではなく、絵などを解する繊細さを持ち合わす。
そんな男が何を考えたか、遠藤家に仕官する。
ある日、近隣の高橋家が当家に夜討ちをかける、という情報を得る。
頭領である吉弘は、野武士の鎮圧に出かけ留守だ。
一徹は、落ち着き払って対処しはじめる。
奇計をもって、高橋を討ち取る。
さらに、吉弘と合流。
勢いに乗じて、相手方の城を占領。
一徹の本領が発揮された、最初の戦だった。
それからは連戦連勝。
何かに憑かれたように、所領を拡大していく遠藤家。
四千石だった領土は、気づけば二万四千石。
信濃守護の小笠原長時に、比肩するまでになっていた。
一徹には、その軍師的才能に裏打ちされた野心があった。
それは、遠藤吉弘を天下人にすること。
「自分に将器はない。しかし軍師として天下を取りたい」
その孤高の志しも、理解者は姫の若菜だけだった。
そんななか、松本平に武田が進攻するという情報が。
小笠原を主とした連合軍で、武田を迎え撃つか。武田に降るか…。
しかし、一徹の考えはどちらとも違う。
「小笠原以下の豪族を掃討し、武田を迎え撃つ!」
しかし、到底、常人は上策とは考えない。
一徹と吉弘の間に、ズレが生じはじめたのもこのころだ。
吉弘に領土拡大の大望はすでにない。
一徹と若菜の間の親密さもいぶかって、一徹を疎みはじめていた。
吉弘は、一徹の策を嫌い、小笠原連合軍に加担することを決める。
一度は、遠藤家から身を引こうと考えた一徹。
それを引き止めたのは、若菜の彼への決然とした想いだった。
はたして一徹は、連合軍のなかで、武田方を迎え撃つ…。
* * *
とにかく読みやすかった。史実を舞台にしているので、登場人物たちが活き活きとしていたと思う。しかし、一徹の考えが孤高に過ぎて、イマイチ感情移入しにくいのと、若菜とのプラトニックな関係も解しかねる。まあ、自分が凡人なのだから仕様がないか…。
それに、石堂一徹と山本勘助がダブるのが気になるなぁ(比べるのはナンセンスかもしれないけど^ ^;)。勘助が、人間臭さから成長して孤高に達していくのに対して、一徹は真逆の成長をしたように感じた。

