幕末の有名な刀鍛冶。
小諸出身だという。
その事実を恥ずかしながら知らなんだ。
吉川英治が短編で著していた。
たまたま“青空文庫”で知ったのだった。
*
兄・実雄と荘司直胤の刀が松代・長国寺で試される。
環(清麿)は、柘植嘉兵衛から知らされ着いていく。
実雄の刀が負ける。
八百長だ。
環は自ら証明しようと試みる。
しかし、刀は刃がこぼれる。
直胤が気を削ぎ、失敗を誘ったのだ。
それを知らせてくれたのは、浪々の金子重輔だった。
嘲笑のなか、茫然自失の体。
深くリベンジを誓う。
環は婿養子に入っていた。
そこを抜け出し、実家へ。
しかし、兄は戻ることをゆるさなかった。
上田・別所でうらぶれる環。
恩人である柘植嘉兵衛に出会う。
隠れるように逃げ出す。
こんなことではいかん!
発心し松代へ。
柘植だけにでも決意の手紙を書いた。
江戸へ出発の朝。
爆発に巻き込まれる。
藩の演習。
佐久間象山との出会い。
時代は刀から大砲へ。
改めて江戸へ。
途中、飛脚に声をかけられる。
柘植嘉兵衛からだ。
「窪田清音という人を訪ねよ」
それに従って、奉公に入る。
数年が経ち、刀を鍛つ許可が出る。
めきめきと頭角をあらわす内蔵助(清麿)。
「世に出そう」
窪田清音や目利きの友人も賛同。
“武器講百刀会”
噂から依頼が殺到するのだった。
銘は“源清麿”。
一刀一刀渾身。
作刀の年月はかかり、金は酒と女に。
意欲も消えかけていた。
酔いどれに喧嘩。
相手を刃傷。
ほうほうと蕎麦屋に入る。
その主人は、あの金子重輔だった。
話しこみ、国の行く末に感化される。
そして佐久間象山が江戸にいること聞く。
訪ねる清麿。
志士たちとの交流。
清麿は作刀の意欲を取り戻す。
窪田清音に志士たちとの交流をたしなめられる。
江戸を離れるよう勧める。
数年後。
ふらり戻ってきた清麿。
吉田松陰と交流もあったようだ。
決死の旅に出る門出。
自作の脇差しを、と佐久間邸へ。
しかし、すれ違う。
彼らはすでに“黒船”へ。
象山の一紙も携え、追いかけこれを手渡す。
しかし、それが仇となった。
清麿へも幕府の捕吏の魔の手が。
清麿は、このときを覚悟していたのだった。
* * *
この著書にはないけれど、江戸を離れたとき、長州・萩へ行ったようだ。
坂城には、人間国宝である故・宮入行平氏がいたが、小諸にもそんなに有名な刀匠がいたことを、全然知らなかった。
昨年末、信濃美術館で生誕200年の記念展があったようだ。
そこには、あの故・山本兼一氏もいらしたようだ。故人の著作にも清麿を題材にしたものがあるらしく、こちらも機会があれば読んでみたい。


