2014年3月8日土曜日

山浦清麿

幕末の有名な刀鍛冶。
小諸出身だという。
その事実を恥ずかしながら知らなんだ。
吉川英治が短編で著していた。
たまたま“青空文庫”で知ったのだった。
兄・実雄と荘司直胤の刀が松代・長国寺で試される。
環(清麿)は、柘植嘉兵衛から知らされ着いていく。
実雄の刀が負ける。
八百長だ。
環は自ら証明しようと試みる。
しかし、刀は刃がこぼれる。
直胤が気を削ぎ、失敗を誘ったのだ。
それを知らせてくれたのは、浪々の金子重輔だった。

嘲笑のなか、茫然自失の体。
深くリベンジを誓う。
環は婿養子に入っていた。
そこを抜け出し、実家へ。
しかし、兄は戻ることをゆるさなかった。

上田・別所でうらぶれる環。
恩人である柘植嘉兵衛に出会う。
隠れるように逃げ出す。
こんなことではいかん!
発心し松代へ。
柘植だけにでも決意の手紙を書いた。
江戸へ出発の朝。
爆発に巻き込まれる。
藩の演習。
佐久間象山との出会い。
時代は刀から大砲へ。

改めて江戸へ。
途中、飛脚に声をかけられる。
柘植嘉兵衛からだ。
「窪田清音という人を訪ねよ」
それに従って、奉公に入る。

数年が経ち、刀を鍛つ許可が出る。
めきめきと頭角をあらわす内蔵助(清麿)。
「世に出そう」
窪田清音や目利きの友人も賛同。
“武器講百刀会”
噂から依頼が殺到するのだった。
銘は“源清麿”。

一刀一刀渾身。
作刀の年月はかかり、金は酒と女に。
意欲も消えかけていた。
酔いどれに喧嘩。
相手を刃傷。
ほうほうと蕎麦屋に入る。
その主人は、あの金子重輔だった。
話しこみ、国の行く末に感化される。
そして佐久間象山が江戸にいること聞く。
訪ねる清麿。
志士たちとの交流。
清麿は作刀の意欲を取り戻す。

窪田清音に志士たちとの交流をたしなめられる。
江戸を離れるよう勧める。
数年後。
ふらり戻ってきた清麿。
吉田松陰と交流もあったようだ。
決死の旅に出る門出。
自作の脇差しを、と佐久間邸へ。
しかし、すれ違う。
彼らはすでに“黒船”へ。
象山の一紙も携え、追いかけこれを手渡す。

しかし、それが仇となった。
清麿へも幕府の捕吏の魔の手が。
清麿は、このときを覚悟していたのだった。
*   *   *
この著書にはないけれど、江戸を離れたとき、長州・萩へ行ったようだ。
坂城には、人間国宝である故・宮入行平氏がいたが、小諸にもそんなに有名な刀匠がいたことを、全然知らなかった。
昨年末、信濃美術館で生誕200年の記念展があったようだ。

そこには、あの故・山本兼一氏もいらしたようだ。故人の著作にも清麿を題材にしたものがあるらしく、こちらも機会があれば読んでみたい。

2014年3月5日水曜日

おれの足音-大石内蔵助(下)

世は "元禄」。
「生類あわれみの令」が猛威をふるっていた。
内匠頭は内蔵助にだけには、本音を吐露。

内匠頭が奉書火消に任ぜられる。
以前より消防に熱心だった内匠頭。
国元にそれを強いる。

いろいろな人たちとの出会い。
流浪の人·水間治部左衛門。
なかなかの仁だ。
そんなとき、江戸から早馬が。
「备中·松山城を接収せよ」
幕府からのお達しだった。
何が起こるか分からない。
そんなとき水間が "橋渡し"となってくれたのだった。
松山のことで、内匠頭は弟を養子にする。

中山安兵衛の高田馬場の決闘。
江戸留守居役の堀部弥兵衛。
その噂の仔細を内蔵助に手紙にしたためた。
その思い入れは婿取りに向かう。
狂気と思われた執拗な誘い。
とうとう安兵衛は折れる。
ここに「堀部安兵卫」が誕生。

元禄十四年の年も明け、なにもかもが平凡と過ぎ去る。
···はずだった。
その日、内蔵助はりくにゆりおこされた。
「江戸から早馬(おはや)が」
妻の蒼白な顏に、ただならぬものを感じる。
はたして、それはあの松の廊下の事件を告げるものだった。

小平次は、懇意の旗本から事件の仔細を聞いた。
喧哗両成败...とはならなかった。
そこに今のご政道が間違っている。
世間は吉良よりも、幕府に不満が向けられつつあった。

诸事、淡々と城受け渡しが成る。
ここで、あの松山の事柄が役に立つとは皮肉だった。

内蔵助は京都·山科に移り住む。
長男以外は妻の実家に帰す。
内蔵助はいろいろな女を渡り歩く。
別に荒んでいるわけではない。
内蔵助は、金銭の始末は万端に済ましている。
一心に御家再興を運動していた。
しかし、内匠頭の弟で養子の大学の、浅野本家預かりが決まる。
ここに御家再興はならないことが決定してしまった。
内蔵助は、江戸へ上る決心をする。

内蔵助は江戸へ出ても、暇さえあれば遊女のもとへ。
自分でも苦笑するほどの女好き。
年も押し詰まった。
吉良の所在が確かなものに。
討入りへ。
なかなか吉良は見つからず。
周囲に焦りの影が。
しかし内蔵助は微動だにせず。
頭では妻の大きな身体を妄想。
とうとう吉良が見つかる。
それを聞き、内蔵助はゆっくりと立ち上がった。
*   *   *
それにしても女好きだ。でも家老だし、お大尽遊びしたわけでもないし、放蕩したわけでなく、どの女にも好かれ、福々としている。
小平次も、一時はあんなに恨んでいたのに、久しぶりに会えば、すっと分かりあえてしまった。
でも、内蔵助がいたからこそ、あの討入りは成功したのだとも思う。
筋道をたて幕府に運動し、先のことは先のことと言いながらも、その対応力は抜群のものを持っていた。

リーダーとして素晴らしい人だったのだと思う。

2014年3月1日土曜日

おれの足音-大石内蔵助(上)

竹太郎、赤穂の国家老の御曹司。
奉公の娘·お幸に手を出す。
祖母が気づき、お幸は暇を出される。
そのまま、お幸親子は行方知れずに。
そればかりか、お幸は剣友·佐々木源八の許嫁だった。
その源八も脱藩。
思い詰めた竹太郎は、ふたりの行方を追って京へ。

竹太郎は京に出る。
そこには、昔なじみの服部小平次がいた。
小平次に助けられ、祇園で他の女の「味」を知る。
そして、やさぐれた佐々木源八を見つける。
諭して、小平次のもとへ。
しかし、祖父の良欽の危篤。
源八は身を隠してしまい、追うこともできず。
竹太郎は、さすがに赤穂へ戻る決心をする。

しばらくして、良欽が亡くなる。
跡を襲い、竹太郎は大石内蔵助良雄と、名を改める。

七年が経った。
内蔵助はリッパな国家老に成長した。
赤穂の殿様·浅野内匠頭が結婚。
江戸家老の叔父·大石頼母良重に呼ばれて江戸へ。
その途中、久しぶりに京へ。
小平次と福山へ。
水茶屋で遊ぶ。
小平次は工芸に秀でている。
町人になりたいと、密かに思っている。

内匠頭と内蔵助。
江戸で初めて対面。
国の政治のことを細かく聞きたがる。
内蔵助は茫洋。
歯がゆく思う内匠頭。

江戸を離れる日。
叔父の良重は健在で、祖父を思わせた。
なぜか、内蔵助は江戸を離れるのがためらわれた。
出発して間もなく、早馬が。
叔父·良重が急に倒れ、亡くなってしまう。

さらに数年後。
小平次には兄·平太夫がいる。
内匠頭の小性。
病弱。
快方かと思われた平太夫。
急逝。
父も追うように死に、小平次が家督を継ぐ。
逃げ出そうとする小平次。
服部家を考えた内蔵助。
そんな小平次にきつく対する。
江戸へトバしてしまう。

内蔵助が結婚。
りくは大女。
どう「扱うか」困っている。

京へ。
馴染みの刀屋に呼び止められ茶飲み話。
そこへやさぐれた若い浪人。
祖父の形見の刀を買ってくれという。
「女の影」。
感じるものがあった内蔵助。
形見をおさめさせ、その分の金を「貸す」。
浪人は「中山安兵卫」と名のる。
必ず「返します」。
内蔵助はニコニコと見送った。

江戸へ。
小平次が、何やら細工物で儲けた話。
そのうわさが流れていた。
内匠頭の耳に入る前に、内蔵助がきつ〜い裁きを降す。
恨む小平次。
しかし、それは内蔵助が利かした気転だった。
*   *   *
内蔵助の人柄が、とても爽やかだ。
頼りなさそうでいて、芯はしっかりしている。
若気のいたりも、周囲の人々に見守られ助けられる。

そこは、あの堀部安兵衛とも通じるものがあったのか、内蔵助が若い安兵衛にあったときの対応にあらわれているような気がする。