2014年6月18日水曜日

村上海賊の娘(下)

景は能島にスゴスゴと帰ってきた。
おとなしく“花嫁修業”。
父の武吉は、毛利に合力を約束する。
…が、連歌奉納と称しなかなか重い腰。

上杉謙信起つ。
知らせが入り武吉も意を決する。
村上軍は毛利の待つ海へ。
勇み立つ元吉。
しかし武吉は“戦”自体が起こらないと読んでいた。

何も知らなず、兄たちを見送った景。
しかし、武吉の言葉に絶句。
毛を逆立て、難波の海へと旅立つ…。

武吉が言う。
「ついに鬼手が行く…」と。
*   *   *
全編で突出した魅力を放っているのは七五三兵衛だ。
原哲夫氏のマンガに出てきそうなキャラ。
まさに“カゲの主役”と言っていいだろうね。
はっきり言って、七五三兵衛が景を喰っていた。

“何のために闘うのか”
どこかの歌の文句みたいだが、景は自分のためではなく、大きな矛盾に対して戦に邁進する。
けれど正直言って、景が戦に臨む動機付けが薄いような…。
和田さんの前著「小太郎の左腕」の主人公・小太郎が戦に臨む動機付けは、とても納得のゆくものだった。
景と一向宗門徒のふれあいを、もう少し深く描いてくれればなあ…。

それ以上に合戦描写が深く濃く描かれている。
最後の戦いのシーンは、手に汗握る展開で、一気読み必至だった。

さすが和田さん。

2014年6月1日日曜日

村上海賊の娘(上)

信長と本願寺のにらみ合いが長く続いていた。
雑賀党の鈴木孫市は毛利に兵糧入れを求める。

毛利方評議。
兄の吉川元春は諾。
弟の小早川隆景は否…。
とは言わないが、上杉謙信の動向が気になる。
とりあえず、村上海賊に応援を求めることに。
使者を立てる。

村上海賊と言っても3つある。
そのなかの能島村上は独立系。
一番の有力者だ。
頭領は村上武吉。

使者の児玉就英と乃美宗勝。
行く途中、あやしい船に追い抜かれる。
それは一向宗門徒の船。
しかし船頭にだまされ、拉致られていた。
村上海賊の領域は帆別銭が必要。
その船が能島村上の領域で包囲される。
先頭に立つ豪胆な女。
それは能島村上の姫。
名を村上景(キョウ)と言う。

児玉就英たちは村上武吉と会う。
毛利に加担し、本願寺へ兵糧入れを申込む。
武吉は景との結婚を条件に出す。
児玉就英は美丈夫だ。
景に否やはない。
しかしプライドの高い就英。
これを蹴る。
決裂。
安堵したのは隆景だった。

なぜか一向宗門徒の船が能島に。
村上海賊の一員が乗れば、瀬戸内海の行き来は自由。
「姫は異相。堺へ行けばモテモテ」
門徒の源爺にそそのかされる。
かくして景は、自ら門徒の船に乗り込むのだった。
*   *   *
今までの和田さんの著書とは趣が違うというか…。
こんなに読みにくくなかったと思うんだけど…。
資料の肉付けがしっかりしているのはいいと思う。
しかし、物語と資料説明が混ざった文章は、イマイチ読む波に乗れない。
直前に読んだ伊東潤さんの本が、物語と状況説明が整理されていてとても読みやすかっただけに、読みにくさが際立ってしまったというか…。
“じゃあお前が書けば‼”と言われてしまえば、グーの音も出ないのだけれど…。

物語自体はとてもおもしろい。
男たちが戦いに向かう姿勢は単純明快だ。
後半の主人公・景の考え方は、現代のオイラ達の考え方に通じている。

…しかし、“あの”景がこのまま腐ってしまうとは思えない。
後半の復活のキッカケが鍵になるしとても気になるところ。