2014年11月7日金曜日

ローマ人の物語(8~10)

上田市に総合文化施設“サントミューゼ”が完成。
そこで蜷川幸雄氏演出の「ジュリアス・シーザー」が公演される。
それを見に行く予定。
とても楽しみだ。

ところでジュリアス・シーザーって、ユリウス・カエサルのことだよな。
古代ローマの英雄。
独裁者?
「ブルータスお前もか」
知ってるのってこれくらい。

…というわけで“ローマ人の物語”の続きに着手。
*   *   *
ハンニバルの脅威が去ったローマ。
内政は混迷し、元老院派が力を持つ。
このクダリは6・7巻の“勝者の混迷”で語られた。

相変わらず市民派・元老院派の綱引き。
カエサルは市民派を背景に野心を抱いていたようだ。
だが大器晩成。
じっと待つのか。
40歳までは、大した功績もない。
いろいろな女性と浮名を流すだけのプレイボーイ。
それも何又かけても憎まれない甲斐性。
そんな性格の持ち主は、着実に地盤を固めていったようだ。

41歳にして起つ!
いろいろな社会情勢の中、護民官から着実に階段を登り執政官に。
三頭政治を樹立。
元老院派を牽制してゆく。

スペインなどの属州総督を経て、未知の世界ガリアへ。
ガリア人とゲルマン人の連合勢力とも渡りあう。
5年目には、遠くブリタニアへも遠征。
7年目には最大の危機にして最大のライバル、ベルチンジェトリックスも現れた。
それらを倒し、足掛け8年もの歳月をかけ西ヨーロッパを制圧する。
気の遠くなるような“創作”をやってのける。

そして顧みれば、“敵”はローマに…。

三頭政治の一角クラッススはパルティアの前に亡く。
残るポンペイウスはいつの間にか元老院派に引きこまれていた。

カエサルの前に、ルビコン川が横たわる…。
「…賽は投げられた!」
*   *   *
“カエサル”と“ガリア戦記”が自分の中で繋がっていなかった。
その理由は、シェークスピアも著し、これから読むであろう“ルビコン以後”のカエサルが、あまりにも有名だからかもしれない。

ガリアを統一するという大事業。
それは、中華を統一した始皇帝とダブる。
“志”というところでは、両者はかなり近いように思うのだが。

このペースだと“ルビコン以後”は舞台を見る前に読み終わりそうにない。
改めて自分の読書の遅さを痛感。
情けなし。

2014年6月18日水曜日

村上海賊の娘(下)

景は能島にスゴスゴと帰ってきた。
おとなしく“花嫁修業”。
父の武吉は、毛利に合力を約束する。
…が、連歌奉納と称しなかなか重い腰。

上杉謙信起つ。
知らせが入り武吉も意を決する。
村上軍は毛利の待つ海へ。
勇み立つ元吉。
しかし武吉は“戦”自体が起こらないと読んでいた。

何も知らなず、兄たちを見送った景。
しかし、武吉の言葉に絶句。
毛を逆立て、難波の海へと旅立つ…。

武吉が言う。
「ついに鬼手が行く…」と。
*   *   *
全編で突出した魅力を放っているのは七五三兵衛だ。
原哲夫氏のマンガに出てきそうなキャラ。
まさに“カゲの主役”と言っていいだろうね。
はっきり言って、七五三兵衛が景を喰っていた。

“何のために闘うのか”
どこかの歌の文句みたいだが、景は自分のためではなく、大きな矛盾に対して戦に邁進する。
けれど正直言って、景が戦に臨む動機付けが薄いような…。
和田さんの前著「小太郎の左腕」の主人公・小太郎が戦に臨む動機付けは、とても納得のゆくものだった。
景と一向宗門徒のふれあいを、もう少し深く描いてくれればなあ…。

それ以上に合戦描写が深く濃く描かれている。
最後の戦いのシーンは、手に汗握る展開で、一気読み必至だった。

さすが和田さん。

2014年6月1日日曜日

村上海賊の娘(上)

信長と本願寺のにらみ合いが長く続いていた。
雑賀党の鈴木孫市は毛利に兵糧入れを求める。

毛利方評議。
兄の吉川元春は諾。
弟の小早川隆景は否…。
とは言わないが、上杉謙信の動向が気になる。
とりあえず、村上海賊に応援を求めることに。
使者を立てる。

村上海賊と言っても3つある。
そのなかの能島村上は独立系。
一番の有力者だ。
頭領は村上武吉。

使者の児玉就英と乃美宗勝。
行く途中、あやしい船に追い抜かれる。
それは一向宗門徒の船。
しかし船頭にだまされ、拉致られていた。
村上海賊の領域は帆別銭が必要。
その船が能島村上の領域で包囲される。
先頭に立つ豪胆な女。
それは能島村上の姫。
名を村上景(キョウ)と言う。

児玉就英たちは村上武吉と会う。
毛利に加担し、本願寺へ兵糧入れを申込む。
武吉は景との結婚を条件に出す。
児玉就英は美丈夫だ。
景に否やはない。
しかしプライドの高い就英。
これを蹴る。
決裂。
安堵したのは隆景だった。

なぜか一向宗門徒の船が能島に。
村上海賊の一員が乗れば、瀬戸内海の行き来は自由。
「姫は異相。堺へ行けばモテモテ」
門徒の源爺にそそのかされる。
かくして景は、自ら門徒の船に乗り込むのだった。
*   *   *
今までの和田さんの著書とは趣が違うというか…。
こんなに読みにくくなかったと思うんだけど…。
資料の肉付けがしっかりしているのはいいと思う。
しかし、物語と資料説明が混ざった文章は、イマイチ読む波に乗れない。
直前に読んだ伊東潤さんの本が、物語と状況説明が整理されていてとても読みやすかっただけに、読みにくさが際立ってしまったというか…。
“じゃあお前が書けば‼”と言われてしまえば、グーの音も出ないのだけれど…。

物語自体はとてもおもしろい。
男たちが戦いに向かう姿勢は単純明快だ。
後半の主人公・景の考え方は、現代のオイラ達の考え方に通じている。

…しかし、“あの”景がこのまま腐ってしまうとは思えない。
後半の復活のキッカケが鍵になるしとても気になるところ。

2014年5月12日月曜日

真田丸!

大河キターーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
再来年の2016年。
真田幸村を主人公にした大河ドラマが、ついに決定したのです!
それも脚本を手がけるのは、あの三谷幸喜さん‼
二重の喜びです‼
いまから楽しみです‼

2014年5月8日木曜日

城を噛ませた男

・見え過ぎた物見
栃木県佐野市の戦国時代の話。
佐野氏を守るため奔走した宝衍。
まさに“土下座外交”。
ふたりの物見のおかげで、いくつも窮地を脱した。
…が最後の最後で、まさに“見え過ぎ”てしまった。

・鯨がくる城
南伊豆・雲見の北条氏晩年の頃の話。
バカにされている丹波の頭は泰然自若。
しかし、最後に一泡吹かす。
鯨をあやつる策はすごい。

・城を噛ませた男
真田父ちゃんが噛ませた城。
それは名胡桃城。
戦国の世で冷徹に生きた策士、昌幸。
“城を噛ませて、国を取る”
その言葉は実らず、権謀家は九度山に行くことになる。
しかし、家名を残すことには成功する。
この話が本当なら“犬伏の別れ”も違った見方が出きるかもしれない。

・椿の咲く寺
静岡県九能市の武田氏滅亡後の話。
裏の裏を書く話で、作品中もっとも面白かった。
草の者の非情さと、武家の娘の儚さを思い知らされる。

・江雪左文字
表題の国宝である名刀“江雪左文字”の謂れ。
父の遺訓に従った、板部岡江雪の生き様。
      
「見え過ぎた物見」「鯨がくる城」の舞台は奇しくも、旅行で立ち寄ったことのある所で、興味深く読ませてもらった。
「城を噛ませた男」の主人公は、地元の有名武将なので、説明することもないが、実はこれがリアルな話なのかもと考えてしまった。

「椿の~」以外は、戦国の世を泳ぎ切った男たちの、それぞれの生き様が描かれている。

2014年4月11日金曜日

新書太閤記(全一冊合本版)読始

日吉(のちの秀吉)は、しわしわで生まれた。
体は小さいがやんちゃ。
猿のような顔。
物心ついたときには、父は戦で体が不自由。
母は苦労していた。

父が死に、新しく築阿弥が父に。
最初こそ良かった。
しかし、徐々に荒れる。
日吉にもつらくあたるように。

日吉は仕事熱心。
だが義父とソリが合わない。
寺に奉公に出される。
最初こそ良かった。
飽きる。
近所の子どもたちを集め、戦ごっこ。
寺から暇を出される。

働き者で気転が利く。
しかし、それが徒にも。
飽き性も手伝って、それからも奉公先を転々。

「やっぱり、侍奉公したい!」
母姉に強く約す。
数年、針を売りながら諸国放浪。

蜂須賀党に奉公。
明智光秀との邂逅。
その後、今川臣下の松下家に奉公。
しかし、ここでも同僚に疎まれ出奔。

一旦尾張へ。
そして信長に出会う。
ここから、まさに藤吉郎のサクセスストーリーがはじまった。
*  *  *
じつは電書で読んでる。
十一巻をまとめたものだ。
なので、今何巻目にさしかかっているのか分からない。

正直、秀吉は避けてきた。
信長や家康もそうだが、あまりにも有名だ。
だからここであえて、あらすじを書き立てる必要もあるまい。
少し音沙汰がないかもしれないけれど、そういうことなんでよろしくです。



追伸
'14年4月11日/竹中半兵衛を仲間に。稲葉山城を陥落させるたところ。
'14年5月02日/信長叡山を焼討。武田信玄が上洛戦を開始したところ。
'14年7月28日/中国攻め。竹中半兵衛死す。三木城は未だ陥落せず。
'15年5月15日/やっといま賤ヶ岳の戦い。毛受家照討死す。

2014年3月8日土曜日

山浦清麿

幕末の有名な刀鍛冶。
小諸出身だという。
その事実を恥ずかしながら知らなんだ。
吉川英治が短編で著していた。
たまたま“青空文庫”で知ったのだった。
兄・実雄と荘司直胤の刀が松代・長国寺で試される。
環(清麿)は、柘植嘉兵衛から知らされ着いていく。
実雄の刀が負ける。
八百長だ。
環は自ら証明しようと試みる。
しかし、刀は刃がこぼれる。
直胤が気を削ぎ、失敗を誘ったのだ。
それを知らせてくれたのは、浪々の金子重輔だった。

嘲笑のなか、茫然自失の体。
深くリベンジを誓う。
環は婿養子に入っていた。
そこを抜け出し、実家へ。
しかし、兄は戻ることをゆるさなかった。

上田・別所でうらぶれる環。
恩人である柘植嘉兵衛に出会う。
隠れるように逃げ出す。
こんなことではいかん!
発心し松代へ。
柘植だけにでも決意の手紙を書いた。
江戸へ出発の朝。
爆発に巻き込まれる。
藩の演習。
佐久間象山との出会い。
時代は刀から大砲へ。

改めて江戸へ。
途中、飛脚に声をかけられる。
柘植嘉兵衛からだ。
「窪田清音という人を訪ねよ」
それに従って、奉公に入る。

数年が経ち、刀を鍛つ許可が出る。
めきめきと頭角をあらわす内蔵助(清麿)。
「世に出そう」
窪田清音や目利きの友人も賛同。
“武器講百刀会”
噂から依頼が殺到するのだった。
銘は“源清麿”。

一刀一刀渾身。
作刀の年月はかかり、金は酒と女に。
意欲も消えかけていた。
酔いどれに喧嘩。
相手を刃傷。
ほうほうと蕎麦屋に入る。
その主人は、あの金子重輔だった。
話しこみ、国の行く末に感化される。
そして佐久間象山が江戸にいること聞く。
訪ねる清麿。
志士たちとの交流。
清麿は作刀の意欲を取り戻す。

窪田清音に志士たちとの交流をたしなめられる。
江戸を離れるよう勧める。
数年後。
ふらり戻ってきた清麿。
吉田松陰と交流もあったようだ。
決死の旅に出る門出。
自作の脇差しを、と佐久間邸へ。
しかし、すれ違う。
彼らはすでに“黒船”へ。
象山の一紙も携え、追いかけこれを手渡す。

しかし、それが仇となった。
清麿へも幕府の捕吏の魔の手が。
清麿は、このときを覚悟していたのだった。
*   *   *
この著書にはないけれど、江戸を離れたとき、長州・萩へ行ったようだ。
坂城には、人間国宝である故・宮入行平氏がいたが、小諸にもそんなに有名な刀匠がいたことを、全然知らなかった。
昨年末、信濃美術館で生誕200年の記念展があったようだ。

そこには、あの故・山本兼一氏もいらしたようだ。故人の著作にも清麿を題材にしたものがあるらしく、こちらも機会があれば読んでみたい。

2014年3月5日水曜日

おれの足音-大石内蔵助(下)

世は "元禄」。
「生類あわれみの令」が猛威をふるっていた。
内匠頭は内蔵助にだけには、本音を吐露。

内匠頭が奉書火消に任ぜられる。
以前より消防に熱心だった内匠頭。
国元にそれを強いる。

いろいろな人たちとの出会い。
流浪の人·水間治部左衛門。
なかなかの仁だ。
そんなとき、江戸から早馬が。
「备中·松山城を接収せよ」
幕府からのお達しだった。
何が起こるか分からない。
そんなとき水間が "橋渡し"となってくれたのだった。
松山のことで、内匠頭は弟を養子にする。

中山安兵衛の高田馬場の決闘。
江戸留守居役の堀部弥兵衛。
その噂の仔細を内蔵助に手紙にしたためた。
その思い入れは婿取りに向かう。
狂気と思われた執拗な誘い。
とうとう安兵衛は折れる。
ここに「堀部安兵卫」が誕生。

元禄十四年の年も明け、なにもかもが平凡と過ぎ去る。
···はずだった。
その日、内蔵助はりくにゆりおこされた。
「江戸から早馬(おはや)が」
妻の蒼白な顏に、ただならぬものを感じる。
はたして、それはあの松の廊下の事件を告げるものだった。

小平次は、懇意の旗本から事件の仔細を聞いた。
喧哗両成败...とはならなかった。
そこに今のご政道が間違っている。
世間は吉良よりも、幕府に不満が向けられつつあった。

诸事、淡々と城受け渡しが成る。
ここで、あの松山の事柄が役に立つとは皮肉だった。

内蔵助は京都·山科に移り住む。
長男以外は妻の実家に帰す。
内蔵助はいろいろな女を渡り歩く。
別に荒んでいるわけではない。
内蔵助は、金銭の始末は万端に済ましている。
一心に御家再興を運動していた。
しかし、内匠頭の弟で養子の大学の、浅野本家預かりが決まる。
ここに御家再興はならないことが決定してしまった。
内蔵助は、江戸へ上る決心をする。

内蔵助は江戸へ出ても、暇さえあれば遊女のもとへ。
自分でも苦笑するほどの女好き。
年も押し詰まった。
吉良の所在が確かなものに。
討入りへ。
なかなか吉良は見つからず。
周囲に焦りの影が。
しかし内蔵助は微動だにせず。
頭では妻の大きな身体を妄想。
とうとう吉良が見つかる。
それを聞き、内蔵助はゆっくりと立ち上がった。
*   *   *
それにしても女好きだ。でも家老だし、お大尽遊びしたわけでもないし、放蕩したわけでなく、どの女にも好かれ、福々としている。
小平次も、一時はあんなに恨んでいたのに、久しぶりに会えば、すっと分かりあえてしまった。
でも、内蔵助がいたからこそ、あの討入りは成功したのだとも思う。
筋道をたて幕府に運動し、先のことは先のことと言いながらも、その対応力は抜群のものを持っていた。

リーダーとして素晴らしい人だったのだと思う。

2014年3月1日土曜日

おれの足音-大石内蔵助(上)

竹太郎、赤穂の国家老の御曹司。
奉公の娘·お幸に手を出す。
祖母が気づき、お幸は暇を出される。
そのまま、お幸親子は行方知れずに。
そればかりか、お幸は剣友·佐々木源八の許嫁だった。
その源八も脱藩。
思い詰めた竹太郎は、ふたりの行方を追って京へ。

竹太郎は京に出る。
そこには、昔なじみの服部小平次がいた。
小平次に助けられ、祇園で他の女の「味」を知る。
そして、やさぐれた佐々木源八を見つける。
諭して、小平次のもとへ。
しかし、祖父の良欽の危篤。
源八は身を隠してしまい、追うこともできず。
竹太郎は、さすがに赤穂へ戻る決心をする。

しばらくして、良欽が亡くなる。
跡を襲い、竹太郎は大石内蔵助良雄と、名を改める。

七年が経った。
内蔵助はリッパな国家老に成長した。
赤穂の殿様·浅野内匠頭が結婚。
江戸家老の叔父·大石頼母良重に呼ばれて江戸へ。
その途中、久しぶりに京へ。
小平次と福山へ。
水茶屋で遊ぶ。
小平次は工芸に秀でている。
町人になりたいと、密かに思っている。

内匠頭と内蔵助。
江戸で初めて対面。
国の政治のことを細かく聞きたがる。
内蔵助は茫洋。
歯がゆく思う内匠頭。

江戸を離れる日。
叔父の良重は健在で、祖父を思わせた。
なぜか、内蔵助は江戸を離れるのがためらわれた。
出発して間もなく、早馬が。
叔父·良重が急に倒れ、亡くなってしまう。

さらに数年後。
小平次には兄·平太夫がいる。
内匠頭の小性。
病弱。
快方かと思われた平太夫。
急逝。
父も追うように死に、小平次が家督を継ぐ。
逃げ出そうとする小平次。
服部家を考えた内蔵助。
そんな小平次にきつく対する。
江戸へトバしてしまう。

内蔵助が結婚。
りくは大女。
どう「扱うか」困っている。

京へ。
馴染みの刀屋に呼び止められ茶飲み話。
そこへやさぐれた若い浪人。
祖父の形見の刀を買ってくれという。
「女の影」。
感じるものがあった内蔵助。
形見をおさめさせ、その分の金を「貸す」。
浪人は「中山安兵卫」と名のる。
必ず「返します」。
内蔵助はニコニコと見送った。

江戸へ。
小平次が、何やら細工物で儲けた話。
そのうわさが流れていた。
内匠頭の耳に入る前に、内蔵助がきつ〜い裁きを降す。
恨む小平次。
しかし、それは内蔵助が利かした気転だった。
*   *   *
内蔵助の人柄が、とても爽やかだ。
頼りなさそうでいて、芯はしっかりしている。
若気のいたりも、周囲の人々に見守られ助けられる。

そこは、あの堀部安兵衛とも通じるものがあったのか、内蔵助が若い安兵衛にあったときの対応にあらわれているような気がする。

2014年2月11日火曜日

とっぴんぱらりの風太郎

風太郎は伊賀の忍び。
黒弓の手を借りながら、伊賀の城に潜入。
采女様から試験を受けていた。
しかし、お城に傷をつけてしまう。
怒り心頭の藤堂の御殿。
あえなくお払い箱。

餞別をもらい京へ。
黒弓と別れる。
いつか“忍び”に戻れる。
信じて、そこで遊んで暮らす。

いつの間にかすっからかん。
吉田山のあばら屋に住み着く。
“声”がかからないまま一年以上過ぎる。
土方をしながら暮らす。

そんなとき黒弓が現れる。
ひょうたんを持って。
義左衛門の紹介。
ひょうたんを扱う“瓢六”に行けという。

その夜、へんなじいさんが現れる。
“因心居士”と名のる。
なにもかもお見通し。
箱を“瓢六”という店に届けるように言われる。
しかし、開けてしまい中身の“蛾”は粉々になって“口”の中へ。

“瓢六”へ行くと昨日のじいさんが。
どうやら昨日とは違うらしい。
そのじいさんから、ひょうたんを育てるように言われる。
風太郎は、いやいやながらも育てることに。

“瓢六”の使いをするようになったある日。
高台寺へ。
そこに“偶然”常世が。

吉田山のあばらやに常世が。
腕試し。
高台院と会うように言われる。

高台院と対面。
頼まれ事。
それは祇園会で“ひさご様”の護衛だった…。
*   *   *
風太郎や、仲間の忍びたちは、決して強いわけではない。
風太郎は仕事にあぶれ、遊び暮して身をやつす。
最初は風太郎のだらしなさに、気をもんだりした。
その反面、自分にも通じるダメさを感じたりもした。
後半、大坂冬の陣が始まり、風太郎は念願の“忍び”に復帰する。
それは、彼をシリアスな現実へと引き戻してゆく。

どこかで彼らを“生かして”くれるものだと、おいらは作者に“甘えて”いたようだ。

2014年1月23日木曜日

決闘の辻―藤沢版新剣客伝

電書で、ポツポツと読み進め、このほどやっと読めた。
それぞれの感想をひと言で。
・二天の窟(宮本武蔵)
「なんか卑怯じゃないの武蔵」「…それも兵法なり…」

・死闘(神子上典膳)
あれは、善鬼のじゃなくて典膳の方だったのね。

・夜明けの月影(柳生但馬守宗矩)
自分の不始末は、自分で雪ぐ。

・師弟剣(諸岡一羽斎と弟子たち)
小熊が泣ける。女ってこわいな…。

・飛ぶ猿(愛洲移香斎)
荒涼とした兵法者の世界より、故郷の温かさ。
*   *   *
女性の描き方が微妙と感じたのは勘繰り過ぎ?
すべてにおいて、立ち会いは荒涼とした空気、生と死、とにかく残酷までな現実が描かれている。

剣客と聞けば「かっこいい」なんて思って、飛びついて読んだけれど、そんな甘い気持ちを木っ端微塵にされてしまった。

2014年1月22日水曜日

下町ロケット

ここずーっと「宇宙兄弟」をマンガで読んでいる。
やっぱ基本“宇宙もの”は大好物だ。
「じゃあ、SF読めよ!」と突っ込まれそうだが…。

ずっと気になっていた表題作。
池井戸潤といえば“半沢直樹”。
このほど、その勢いに乗って文庫化された。
あれほど話題になったドラマを、自分は見なかった。
その原作にも目をくれず、早速、本作を手に取った次第。
佃は元・ロケットエンジンの研究者。
挫折し、父の会社である佃製作所を継ぐ。
社業は佃が注力する技術力で保っていた。

そんなある日。
京浜マシナリーから受注をカットされる。
さらに、突然の特許訴訟。
ナカシマ工業から訴えられてしまう。
しかし、そんないわれはない。
佃たちは敢然と立ち向かうのだが…。
*   *   *
話に引き込まれた。
“半沢直樹”が人気があるのも納得。

前半は特許訴訟の駆け引き。
そこからの思わぬ展開。
昔の大きな夢に向かって佃が動きだす。
社内外の弊害を乗り越えながら、それは、いつしか会社全体の夢にオーバーラップしてゆく。

自分自身、この小説に出てくる“会社”という組織に組み込まれている一人して、登場人物たちにとても親近感が湧く。
色々なタイプ人物が出てくるが、果たして自分はどんなタイプなのか。
この状況だったら自分はどちらの立場に立つのか…。

佃や財前や殿村の発するセリフにはグっとくるものがあった。

2014年1月13日月曜日

利休にたずねよ

切腹前日。
煮えくり返るような怒り。

秀吉との確執。
それは、あの“緑釉の香合”を見てからか。

妻の宗恩。
利休の心に住む女に気がついていた。
利休最期の日。
悲しいとは違う感情。
―くちおしい。
宗恩は、緑釉の香合を打ち砕くのだった。
*   *   *
侘び寂びの世界。
そこに芽吹く、匂いたつ命。
利休の根底にある女の存在。
それは、寂れたなかに艶を生み出す。

秀吉と利休。
互いに良き(?)理解者だった。
似ていないようで、根本的には似た者同士だと感じた。

小説では、現在から過去へ回想していくように物語が進み、毎回、主人公が変わる連作短編のような構成だ。
映画化されたが、ミステリーの要素もあると思うので、ドラマ化したらおもしろいと思った。
まあ、話が地味すぎるので難しいとは思う。

某国営BSでなら何とかイけるンじゃないのかな?