2011年12月31日土曜日

堀部安兵衛(下)

安兵衛は広沢のすすめで堀内源左衛門の道場に通う。
江戸で屈指の道場だ。
変わった修行。
いつの間にか強くなっていく。

中津川祐見は門人の村上兄弟と仲良くしていた。
その伝手で、松平家へ仕官の道が開ける。
村上と安兵衛の叔父である菅野は派閥で敵対関係。

そんななか、村上(弟)と菅野が果たし合いをすることに。
理由は他愛もないことだった。
祐見は村上が有利にことが成るように画策する。
まず、甥である安兵衛をなきものにしようと考える。
そうとは知らない安兵衛。
伊佐子と夫婦の契りを交わし、奉公先へ帰る安兵衛。
幸せの絶頂。
しかし伊佐子は祐見門人のうらみを買っていた。
矢を撃たれ、亡くなってしまう。
そして、そのころ祐見門人に襲われる安兵衛。
しかし、安兵衛は強くなっていた。
返り討ち。
奉公先へ着くと、叔母から菅野を助けてほしいという手紙が。

場所は高田馬場。
安兵衛は、あくまで助太刀という形。
しかし祐見方は思った以上に卑怯だった。
祐見と相まみえ討ち勝つ。
菅野の叔父も村上兄弟を成敗。
しかし老齢の叔父は力尽きる。
メンツを保ちつつ安らかに世を去るのだった。

沙汰が決まるまで一時身を隠す。
そんななか伊佐子が亡くなったことを知る安兵衛。
改めて祐見をうらむ。
そして、落ちてしまったことを感じずにはいられなかった。

安兵衛は一躍時の人に。
天狗になる。
それを広沢らに看破され、恥じらう安兵衛。
頭を冷やすため越後へ。
じつは、安兵衛には腹違いの弟がいたことが判明。
しかし、彼は江戸へ丁稚奉公に出ていた。

お秀は、鳥羽の庇護のもと船宿を経営していた。
その宿に通りがかった安兵衛。
偶然そのことを知り無事を喜ぶ。
弟のことを調べてもらう。
陰ながら会うこともできた。

赤穂藩の堀部弥兵衛という老武士。
安兵衛をいたく気に入り養子に請う。
中山家を再興したい安兵衛。
しかし、その熱意に根負け。
堀部安兵衛となるのだった。

それから数年。
とうとう、あの事件が起こるのだった。
*   *   *
なんという数奇な運命。
昨日の敵は今日の友だったり、その逆だったり。
それにしても、安兵衛はたくさんの人に支えられて生きた。いや、彼が特別な存在だったのか、そもそも人を惹きつける魅力があったのか。確かにかっこよかったようだけど、それだけじゃない男の魅力を感じる。
最後の運命にも、まったく臆することなく立ち向かっていく、その男振!!

2011年12月30日金曜日

堀部安兵衛(上)

ときは徳川の世が盤石となりつつあった。
越後・新発田に中山安兵衛は育つ。
父に強烈な稽古で鍛えられていた。

ある日、父が女中を引き込んでいるのを目撃。
母はすでに亡くなっているが、若い安兵衛にはショックだ。
その女中につらくあたる。

そんな憎い父が、理由も分からないまま切腹。
中山家は取り潰しに。
身寄りのない彼は、亡き母方の祖父に引き取られる。

少しずつ明らかになる真相。
父の部下である福田源八があやしい。
お秀という女中との寝物語でそれを聞かされる。
彼はすでに江戸へ出奔。
安兵衛、それを単身追いかける。
三国峠で邂逅。
真相を聞き出そうとして、危うく殺されかける。
ここで父の特訓がモノを言う。

それを見ていたのは、鍼灸医の中津川祐見。
安兵衛の手並みを賞賛。
福田の後始末を手伝う。
祐見は剣士を目指していた。
意気投合するふたりだった。

あれから五年後。
中津川祐見は窪田道場の食客になっていた。
ゆくゆくは道場の娘と結婚か!?
しかし当の娘がこれを拒否。
天狗になっていたのだ。
祐見は嫌われ者になっていた。
祐見は荒れている。

そんなころ、安兵衛は江戸の姉夫婦の厄介に。
仕官も決まり、その若殿について窪田道場に。
安兵衛、立派になっている。
祐見は懐かしさと嫉妬がごちゃまぜ。
安兵衛を呼び出し、酒をたらふく呑ます。
安兵衛泥酔。
仕官先の屋敷の門限を守れず。
焦った安兵衛、またも出奔する。

父の親友をたよるため、一路小田原を目指していた。
そんな道中、なんとお秀と再会。
お秀は鳥羽又十郎という盗賊頭の女になっていた。
お秀を助けた安兵衛だが、小田原にはたよる人が見つからず。
絶望する安兵衛たちは一路箱根へ。

そこに待ち構えていた鳥羽又十郎。
なぜかそこには祐見も。
祐見と又十郎は顔見知りだった。
最初は見物していた祐見。
相手が安兵衛と知り助太刀。
良心の呵責か。
又十郎の片腕を斬って、またも安兵衛を助けるのだった。

三人は祐見の実家である京都へ。
最初は仲良くやっていたが、そこは男と女。
お秀は安兵衛から祐見に鞍替え。
激怒する安兵衛。
嫉妬の炎に荒れ狂う。

消えたふたりを討ち果たそうと考える安兵衛。
しかし路銀がない。
祖父の形見である備前長船を売ろうとする。
飛び込んだ刀屋にひとり、壮年の男がいた。
刀を売るのを止められ、さらに五両もの大金を貸してもらう。
必ず返すと約束し、祐見たちを追いかける。
借りた相手は、あの大石内蔵助だった。

坂本のあたりで、祐見たちを発見する安兵衛。
しかし、祐見に一日の長がある。
返り討ち。
危ないところを、菅野六郎左衛門という老武士に助けられる。

情けなさのどん底の安兵衛を、優しく諭す菅野。
そして、一緒に江戸へと上ることに。
身柄を林光寺に預けられる。
道山和尚は酒を呑めという。
さて、一週間がぶ飲み。
明けて禁酒。
酒の効能を知り、酒豪へと成長する安兵衛。
不思議と今までの事も、遠い過去に感じられるのだった。

菅野と叔父-甥の契りを交わす。
しかし菅野家を継げというわけではない。
あくまで“野客”という待遇。
安兵衛は、その心づくしに涙する。

しばらくして、安兵衛は何者かに襲われる。
鳥羽の一味のようだ。
そこに居合わせた北島雪山に助けられ交誼を持つ。
そんな彼の家で美青年剣士と出会う。
じつは彼女だった。
伊佐子という。
女だてらにめっぽう強い。

実は彼女、辻斬りを成敗しようとしていた。
それは、なんと中津川祐見の門人だという。
祐見は武者修行の末、自分の道場を持ったのだ。
なつかしい気持ちと、ただならぬ事情。
安兵衛は伊佐子についてゆくことに。
祐見は強くなっていた。
安兵衛は、伊佐子は祐見に勝てないと看破。
間一髪で仲裁に入るのだった。
祐見は、お秀を捨てていた。

しばらくして、祐見が窪田道場に。
果たし状をたたきつける。
祐見の剣は魔性を帯びている。
窪田道場は婿が道場主になっている。
いろいろあって数ヶ月後。
祐見は窪田道場を倒し、名実共に有名になる。

雪山は国元に帰ることに。
伊佐子も同郷だが、安兵衛に惚れていた。
そんな彼女の家に、殺されかけたお秀が。
助けられ匿われる。
職も紹介するが、鳥羽又十郎に連れ去られてしまう。

とうとう、雪山が国へ帰る日が。
見送る面々のなかには、細井広沢という人がいた。
彼は、これからの安兵衛の行く末に大きくかかわることになる。
*   *   *
忠臣蔵は、あまりにも有名だけれど興味がなかったので、人物はあまり知らない。
そのなかにあって、超有名な堀部安兵衛の生涯が、こんなにも波瀾万丈だったとは知らなかった。先がどうなるのか気になって、自分としてはかなりのスピードで読み進めた。
さて、あの高田馬場の決闘。そして、忠臣蔵へと彼の短くぶっとい人生が加速する。

2011年12月29日木曜日

血涙(下)

当然石幻果は悩む。
この精神状態で軍の指揮は無理だ。
そう、耶律休哥は判断した。
石幻果を燕京に帰す。
さすがの耶律休哥も、楊業の息子だったとは思っていなかった。

家族のもとに帰った石幻果。
しかし、容易に記憶の苦悩が癒えるはずもない。
耶律休哥は石幻果に“父”として厳しく対応するのだった。

六郎は石幻果と剣を交えた。
父の剣が刃こぼれした。
それを時間をかけ、丹念に研ぎ直していた。
そして、“四郎”に会うことを決意する。
燕京へ。
彼は待っていた。
しかし、そこに立っていたのは、“四郎”に討ち勝った石幻果がいるだけだった。
分かっていたのかもしれない。
六郎は静かに代州へ帰っていった。

五郎が生きていた。
五代山にこもって、剣を修行していたという。
片腕を失くしていた。
弟たちのために、兄を討つため単身遼へ。

亡霊対亡霊。
どちらが勝っても虚しい戦いだ。
それでも、ふたりは呼び合うように剣を交える。
紙一重。
五郎は砂上に倒れるのだった。

耶律休哥は衰えを感じていた。
次の戦が最後だと思い定めた。
駆け回り、馳せ回る。
楊業の孫・延光の首が飛ぶ。
耶律休哥は、傷ひとつ負わずに、馬とともに去るのだった。

宋帝は病が篤い。
死期を悟った帝。
悲願の燕運十六州攻略を厳命。
六郎以下、楊家軍は先鋒に立つ。

一方、遼。
度重なる戦で、遼の国土は疲弊していた。
石幻果は禁軍を指揮していた。
今度の戦で賭けに出ることを献策。
それは、開封符を落とすというものだった。

遼の作戦にいち早く気づく六郎。
楊家軍 vs 耶律休哥軍。
最後の戦いがはじまった…。
*   *   *
耶律休哥の去り方がかっこよすぎ。
最後の盛りあがりはハンパない。
生きるということは、戦うということ。
男たちが去った草原には、ただ風が吹き抜けるだけ…。

さて、水滸伝サーガの序章とも言える楊家将シリーズを読み終えた。
とうとう水滸伝にいどむ。
さらに、楊令伝、岳飛伝と続く。
…うぅ、果てしない。

その前に、日本の年末には欠かせない物語の、あの人物の作品を読んでみたい。

2011年12月2日金曜日

血涙(上)

石幻果。
耶律休哥のもと、メキメキと頭角を現す。
記憶は無い。
耶律休哥からは、自分が宋の将軍だったことを聞いた。
ケイガキという皇帝の姉が、献身的に尽くしてくれる。
なぜか、違和感は感じない。
いつしか、耶律休哥の右腕となっていく。

楊家軍。
六郎と七郎は代州で調練を繰り返していた。
三万もいた軍は数百人に。
宋は信用できない。
何のために戦うのか?
楊家の誇りのためだった。
父・楊業の意志を継ぐ。
ぶつかりあいながらも、軍を立て直してゆく。

会戦。
五分五分。
六郎は「幻」の旗下、四郎の幻と出逢う。
あの太刀さばき。
あの馬の乗りこなし。
死んだはずの四郎としか思えなかった。

石幻果は、ケイガキと夫婦になる。
吸葉剣を佩く。
燕京でつけられていることに気づく。
吸葉剣でそいつを切り捨てる。
その男は、かつての部下だった。
〝楊四郎〟と呼ばれても、何も感じなかった。

二度目の会戦。
六郎と石幻果が直接対決。
六郎は父から受け継いだ吹毛剣を佩いていた。
吹毛剣vs吸葉剣。
激しい衝撃で、石幻果は記憶が蘇る。
*   *   *
石幻果は楊四郎だった。まさか仇である耶律休哥に拾われるとは。
しかし石幻果は、耶律休哥に父以上のものを見る。
六郎と七郎は散り散りになった、楊家軍を再興する。
しかし、宋は信頼していない。
再興を志す精神の源は、父・楊業から受け継いだ〝誇り〟の復活だった。