越後・新発田に中山安兵衛は育つ。
父に強烈な稽古で鍛えられていた。
ある日、父が女中を引き込んでいるのを目撃。
母はすでに亡くなっているが、若い安兵衛にはショックだ。
その女中につらくあたる。
そんな憎い父が、理由も分からないまま切腹。
中山家は取り潰しに。
身寄りのない彼は、亡き母方の祖父に引き取られる。
少しずつ明らかになる真相。
父の部下である福田源八があやしい。
お秀という女中との寝物語でそれを聞かされる。
彼はすでに江戸へ出奔。
安兵衛、それを単身追いかける。
三国峠で邂逅。
真相を聞き出そうとして、危うく殺されかける。
ここで父の特訓がモノを言う。
それを見ていたのは、鍼灸医の中津川祐見。
安兵衛の手並みを賞賛。
福田の後始末を手伝う。
祐見は剣士を目指していた。
意気投合するふたりだった。
あれから五年後。
中津川祐見は窪田道場の食客になっていた。
ゆくゆくは道場の娘と結婚か!?
しかし当の娘がこれを拒否。
天狗になっていたのだ。
祐見は嫌われ者になっていた。
祐見は荒れている。
そんなころ、安兵衛は江戸の姉夫婦の厄介に。
仕官も決まり、その若殿について窪田道場に。
安兵衛、立派になっている。
祐見は懐かしさと嫉妬がごちゃまぜ。
安兵衛を呼び出し、酒をたらふく呑ます。
安兵衛泥酔。
仕官先の屋敷の門限を守れず。
焦った安兵衛、またも出奔する。
父の親友をたよるため、一路小田原を目指していた。
そんな道中、なんとお秀と再会。
お秀は鳥羽又十郎という盗賊頭の女になっていた。
お秀を助けた安兵衛だが、小田原にはたよる人が見つからず。
絶望する安兵衛たちは一路箱根へ。
そこに待ち構えていた鳥羽又十郎。
なぜかそこには祐見も。
祐見と又十郎は顔見知りだった。
最初は見物していた祐見。
相手が安兵衛と知り助太刀。
良心の呵責か。
又十郎の片腕を斬って、またも安兵衛を助けるのだった。
三人は祐見の実家である京都へ。
最初は仲良くやっていたが、そこは男と女。
お秀は安兵衛から祐見に鞍替え。
激怒する安兵衛。
嫉妬の炎に荒れ狂う。
消えたふたりを討ち果たそうと考える安兵衛。
しかし路銀がない。
祖父の形見である備前長船を売ろうとする。
飛び込んだ刀屋にひとり、壮年の男がいた。
刀を売るのを止められ、さらに五両もの大金を貸してもらう。
必ず返すと約束し、祐見たちを追いかける。
借りた相手は、あの大石内蔵助だった。
坂本のあたりで、祐見たちを発見する安兵衛。
しかし、祐見に一日の長がある。
返り討ち。
危ないところを、菅野六郎左衛門という老武士に助けられる。
情けなさのどん底の安兵衛を、優しく諭す菅野。
そして、一緒に江戸へと上ることに。
身柄を林光寺に預けられる。
道山和尚は酒を呑めという。
さて、一週間がぶ飲み。
明けて禁酒。
酒の効能を知り、酒豪へと成長する安兵衛。
不思議と今までの事も、遠い過去に感じられるのだった。
菅野と叔父-甥の契りを交わす。
しかし菅野家を継げというわけではない。
あくまで“野客”という待遇。
安兵衛は、その心づくしに涙する。
しばらくして、安兵衛は何者かに襲われる。
鳥羽の一味のようだ。
そこに居合わせた北島雪山に助けられ交誼を持つ。
そんな彼の家で美青年剣士と出会う。
じつは彼女だった。
伊佐子という。
女だてらにめっぽう強い。
実は彼女、辻斬りを成敗しようとしていた。
それは、なんと中津川祐見の門人だという。
祐見は武者修行の末、自分の道場を持ったのだ。
なつかしい気持ちと、ただならぬ事情。
安兵衛は伊佐子についてゆくことに。
祐見は強くなっていた。
安兵衛は、伊佐子は祐見に勝てないと看破。
間一髪で仲裁に入るのだった。
祐見は、お秀を捨てていた。
しばらくして、祐見が窪田道場に。
果たし状をたたきつける。
祐見の剣は魔性を帯びている。
窪田道場は婿が道場主になっている。
いろいろあって数ヶ月後。
祐見は窪田道場を倒し、名実共に有名になる。
雪山は国元に帰ることに。
伊佐子も同郷だが、安兵衛に惚れていた。
そんな彼女の家に、殺されかけたお秀が。
助けられ匿われる。
職も紹介するが、鳥羽又十郎に連れ去られてしまう。
とうとう、雪山が国へ帰る日が。
見送る面々のなかには、細井広沢という人がいた。
彼は、これからの安兵衛の行く末に大きくかかわることになる。
* * *
忠臣蔵は、あまりにも有名だけれど興味がなかったので、人物はあまり知らない。そのなかにあって、超有名な堀部安兵衛の生涯が、こんなにも波瀾万丈だったとは知らなかった。先がどうなるのか気になって、自分としてはかなりのスピードで読み進めた。
さて、あの高田馬場の決闘。そして、忠臣蔵へと彼の短くぶっとい人生が加速する。
