2010年7月7日水曜日

天と地と(中)

三条勢を見事な采配で痛破する景虎。
長尾俊景を討ち取り、このままの勢いで、残る三条方を潰したい。
しかし、兄・晴景はこれで満足してしまう。
さっさと、春日山へ帰ってしまった。
結局、勢力図はほとんど変わらず仕舞い。

少しして、春日山で事件がおこる。
晴景が寵愛している姉弟の弟・源三郎。
春日山に与力している豪族・新発田氏の妻。
このふたりが不倫。
噂は新発田のダンナの元にも聞こえてきた。
新発田は弟に正否を確かめさせる。
弟はこのふたりを成敗して、武門の汚れを雪いだ。
これを晴景がゆるせない。
新発田の弟を差し出すよう再三催促。
あきれた新発田氏は、景虎に頭領を鞍替え。
景虎は快く迎える。
さらに激怒した晴景。
かくまった景虎を倒すため兵を挙げる。

景虎も晴景の堕落は目に余るものがある。
晴景をたたきつぶすチャンスだ。
栃尾に迎え撃つ。
上田長尾氏の房景・政景父子は晴景につく。
しかし、晴景のまずい采配に、怒って帰ってしまう。
こうなると勝敗は明らかだ。
景虎は見事な采配で、春日山まで追い返す。
敵は風前のともしびだ。
しかし景虎は、春日山手前で兵を止めてしまう。
腐っても兄。
虚無感におそわれる。
これを察知した宇佐美定行は、越後守護・上杉定実を動いてもらうことに。
和睦はなり、晴景は隠居。
跡を取る形で、景虎は越後守護代として春日山に入る。
このとき景虎は、わずか十九だ。

残る抵抗勢力は三条。
敵城は信濃川と、もうひとつの川の間に挟まれた天然の要害だ。
これを陽動作戦で、見事討ち破る。
これで、とりあえず越後が平定となる。

上杉定実が呆気なく病死。
定実には子がなかった。
評定が開かれ、景虎が越後守護に推される。
定実の葬儀が盛大に執り行われるが、上田長尾家の父子が来ない。
これを深刻に思った景虎。
腹違いの姉・綾(のちの仙桃院)を、政景に嫁がせようとする。
が、イマイチ反応がかんばしくない。
景虎は自ら上田へおもむいて、房景父子と会う。
出向いてきたことを喜ぶ房景。
これで婚儀が成立。

この当時、武田は東信濃から北信濃へ侵攻。
村上義清と激しく争っていた。

一方、小田原の北条氏康は。
上州に出、関東管領・上杉憲政を攻略。
上杉憲政は破れ、景虎に救いを求める。
自ら春日山まで来て、なんと関東管領を譲るという。
景虎は北条を征伐する実績を積んでから、名跡を継ぐことを約束。
そのまま上杉憲政は春日山に居座る。
風雅な人で、景虎は琵琶などをこの人に習うのだった。

信州・上州の動静は気になる。
しかし、まずは越後守護を名実ともにするため、景虎は京へ。
裏の目的は鉄砲を入手するため堺へ。
敵対勢力と渡り合えるようにするためだ。
その当時は、一向宗・石山本願寺は隆盛を極めている。
一向宗は父の仇だが、その城のような寺に、景虎は内心舌を巻く。
高野や比叡にも出向く。
景虎は若い。
いろいろ吸収して、ひと回りもふた回りも大きくなって帰る。
*   *   *
幾多の困難を乗り越え、混沌とした越後を平定したとき、景虎はまだハタチそこそこだった。
のちに“軍神”と崇められる上杉謙信も、戦いを虚しく思うことが多くなっていった。それを埋めるかのように、琵琶を覚え孤独に耐えたのか…。
孤高の人にしか分からない寂しさが、少し感じられる。