長尾俊景を討ち取り、このままの勢いで、残る三条方を潰したい。
しかし、兄・晴景はこれで満足してしまう。
さっさと、春日山へ帰ってしまった。
結局、勢力図はほとんど変わらず仕舞い。
少しして、春日山で事件がおこる。
晴景が寵愛している姉弟の弟・源三郎。
春日山に与力している豪族・新発田氏の妻。
このふたりが不倫。
噂は新発田のダンナの元にも聞こえてきた。
新発田は弟に正否を確かめさせる。
弟はこのふたりを成敗して、武門の汚れを雪いだ。
これを晴景がゆるせない。
新発田の弟を差し出すよう再三催促。
あきれた新発田氏は、景虎に頭領を鞍替え。
景虎は快く迎える。
さらに激怒した晴景。
かくまった景虎を倒すため兵を挙げる。
景虎も晴景の堕落は目に余るものがある。
晴景をたたきつぶすチャンスだ。
栃尾に迎え撃つ。
上田長尾氏の房景・政景父子は晴景につく。
しかし、晴景のまずい采配に、怒って帰ってしまう。
こうなると勝敗は明らかだ。
景虎は見事な采配で、春日山まで追い返す。
敵は風前のともしびだ。
しかし景虎は、春日山手前で兵を止めてしまう。
腐っても兄。
虚無感におそわれる。
これを察知した宇佐美定行は、越後守護・上杉定実を動いてもらうことに。
和睦はなり、晴景は隠居。
跡を取る形で、景虎は越後守護代として春日山に入る。
このとき景虎は、わずか十九だ。
残る抵抗勢力は三条。
敵城は信濃川と、もうひとつの川の間に挟まれた天然の要害だ。
これを陽動作戦で、見事討ち破る。
これで、とりあえず越後が平定となる。
上杉定実が呆気なく病死。
定実には子がなかった。
評定が開かれ、景虎が越後守護に推される。
定実の葬儀が盛大に執り行われるが、上田長尾家の父子が来ない。
これを深刻に思った景虎。
腹違いの姉・綾(のちの仙桃院)を、政景に嫁がせようとする。
が、イマイチ反応がかんばしくない。
景虎は自ら上田へおもむいて、房景父子と会う。
出向いてきたことを喜ぶ房景。
これで婚儀が成立。
この当時、武田は東信濃から北信濃へ侵攻。
村上義清と激しく争っていた。
一方、小田原の北条氏康は。
上州に出、関東管領・上杉憲政を攻略。
上杉憲政は破れ、景虎に救いを求める。
自ら春日山まで来て、なんと関東管領を譲るという。
景虎は北条を征伐する実績を積んでから、名跡を継ぐことを約束。
そのまま上杉憲政は春日山に居座る。
風雅な人で、景虎は琵琶などをこの人に習うのだった。
信州・上州の動静は気になる。
しかし、まずは越後守護を名実ともにするため、景虎は京へ。
裏の目的は鉄砲を入手するため堺へ。
敵対勢力と渡り合えるようにするためだ。
その当時は、一向宗・石山本願寺は隆盛を極めている。
一向宗は父の仇だが、その城のような寺に、景虎は内心舌を巻く。
高野や比叡にも出向く。
景虎は若い。
いろいろ吸収して、ひと回りもふた回りも大きくなって帰る。
* * *
幾多の困難を乗り越え、混沌とした越後を平定したとき、景虎はまだハタチそこそこだった。のちに“軍神”と崇められる上杉謙信も、戦いを虚しく思うことが多くなっていった。それを埋めるかのように、琵琶を覚え孤独に耐えたのか…。
孤高の人にしか分からない寂しさが、少し感じられる。
