2016年8月14日日曜日

吹けよ風 呼べよ嵐

須田弥一郎は従兄弟の甚八郎。
ふたりは揃って岩鼻へ。
上田原の戦いを見物。
義父や実父が参戦。
相手はあの武田晴信。
劣勢は優勢に。
だが若輩の眼には分からない。
危険を察知し、須田大岩郷に戻る。
味方の勝ちを知る。
弥一郎たちは安堵する。

弥一郎は元服し満親となる。
そのころには試合巧者の晴信。
着々と小県を謀略の渦へ。
村上義清は須田勢に加勢を求める。
満親と信正(甚八郎)は砥石城へ詰める。
ともに初陣を飾るのだった。

庶家の信正の妹・初乃は満親の許嫁。
ここに来て信正の父・信頼は輿入れを渋る。
怪しい。
信正に探りを入れる満親。
そっけない。
一転して婚儀が整う。
手のひらを返したようだ。
安堵する満親だった。

そんななか再び砥石城へ。
しかし謀略により強襲される。
手引したのは、あろうことに信正だった。
満親は裏切られたのだ。

気絶した満親。
縛られている。
首実検しているのは真田幸綱(幸隆)。
そのなかには実父の首が…。
憤る満親。
庶家の信頼・信正父子は真田に降っていたのだ。
謀略を得意とする冷徹な幸綱。
さらに満親を利用しようとする。

しかし満親は、その謀略を逆手に利用。
村上方と謀った作戦は成功。
囚われの初乃や本家の人々を救う。
それを知った信正。
「裏切ったな満親!」
「それはこっちのセリフだ!」
…とばかりの戦い。
精も根も尽き果てようというとき。
義父の満国が加勢に戻る。
信正たちは引いてゆく。
…仲の良い従兄弟。
今は憎き敵となってしまったのだった。

村上方の合議。
打って出るか。
それとも…。
満親は提案する。
越後に救いを求めることを…。
そして、自身が使者に発つのだった。
*   *   *
主人公の須田満親は、今の須坂の出のようだ。
何と言っても地元の物語なので、情景が想像しやすい。
作者はかなり克明に取材したようで、近辺のありとあらゆる国人名や山城名が所狭しと出てくる。
それでいて、説明臭くなく読ませるのは作者の力量だろう。
川中島の戦いを題材にした小説は数多くあるが、只中の国衆を主に据えたものは少ないだろう。
取材による裏付けで真実味があり、ワクワクしながら読めた。
義に厚かった須田満親は、長尾景虎(上杉謙信)に心酔していく。
面白かったのは、この時期(真田丸放映時期)に、武田信玄と真田幸綱が極悪に描かれていることだった。
ただ、真田丸を見ていると、この話も妙に納得できるのは、三谷幸喜の脚本が素晴らしいことを、裏付けすることにもなっていて、個人的にはうれしい限りだ。
じつはこの物語には続きの構想があるらしい。作者のホームページにあるのだが、本の売れ行き次第での実現らしい。
ぜひ読みたいものだ。