盟主の甥・図書の用兵がまずい。
敵は兎唇の勇者・花房喜兵衛だ。
案の定、戸沢利高を盟主とする味方は敗れる。
重傷を負った半右衛門。
山中で猟師・要蔵の孫・小太郎に助けられる。
要蔵はある理由から小太郎を人から遠ざけていた。
半右衛門は小太郎に、助けられた礼がしたい。
「鉄砲試合に出たい」
それは祖父に固く禁じられていたことだった。
半右衛門は小太郎と約束をする。
数ヶ月後、今年米の穫高は芳しくない。
しかし、豊作を祝うための鉄砲試合は催される。
そこに現れた小太郎は神業を披露する。
戸沢家が寄る翠山城。
児玉家を盟主とする敵に囲まれる。
籠城は長きにわたった。
兵たちは人を食うまでになっていた。
半右衛門は、嘘をついて小太郎をつれだす。
小太郎の神業で、戸沢方は辛くも勝利を収める。
しかし、半右衛門は自分のついた嘘に苦しむ…。
* * *
戦国の“漢”だって、ただの人間だ。しかし、その当時の“魂”というものは、今の時代のそれとは違う。
最後に、小太郎と半右衛門はまったく違う“生き方”の選択をする。
それは“猛々しさ”と“優しさ”の違いでもある。
“手に入れた者”と“失った者”の違いでもあるのだろう。
それにしても、著者の筆圧は見事だ。
「のぼうの城」でもそうだったが、活写がうまい。
映像が見えるようだ。
それに“漢”の描き方も、サッパリとして心地いい。
同年代として、これからも応援してます。
