2009年11月4日水曜日

宮本武蔵(七)

 北条家に招待された武蔵。
 待ち人とがふたりいると連れられてきたのだが、武蔵を試すようにその人物は伏せられていた。
 しかし武蔵は苦笑まじりに看破する。
 ひとりは宗彭沢庵。そしてもうひとりは、なんと柳生宗矩だった。
 宗矩は意地悪くも、武蔵を待ち伏せていた。そうとは知らずの武蔵だったが、気を感じ、部屋へ入る道をわざわざ変えた。その行動を良しとした北条家当主・安房守と柳生宗矩、そして沢庵が、みんなして、将軍家指南役へ推挙し、お通と一家を成せと勧める。

 又八を助けた小次郎。それを逆恨みする浜田某は、小野派一刀流の門弟だった。
 浜田はお杉婆を誘拐し、小次郎をおびき出すが、小次郎はその裏をかく形で師の小野忠明と面接。
 立ち合いの末、負けを認めた忠明は、身を退くことを決め、浜田を破門にする。

 その又八だが朱実に逃げられ、途方に暮れていた。そんな又八に、近所の質屋・奈良井屋大蔵が“いい話”を持ってくる。それはなんと“将軍暗殺”だった。金に目がくらむ又八。ふたつ返事で了解してしまう。…そう、この質屋、城太郎を脅して連れていったあの奈良井屋大蔵だった。

 伊織にせがまれて武蔵は、秩父の三峰権現の神楽舞を見に出かける。
 その太鼓の撥を見て、武蔵はピンとくる。二刀流の極意が。
 そんな背中を暗がりでうかがう者がいた。お甲と宍戸梅軒だ。
 お甲は祇園藤次と、あの和田峠から流れて秩父でお犬茶屋を営んでいた。
 梅軒は野武士家業から足を洗い、三峰神社の寺侍になっていた。
 武蔵には浅からぬ恨みを持つ間柄なので、お甲の茶屋で倒す計画を立てる。
 その横で寝ている丸顔の若い旅人客。
 次の日、武蔵たちは奥之院へ参詣するため山道を歩く。
 そこに待ち伏せていたのは数人の牢人者と梅軒だった。さすがの武蔵も梅軒の強さと周りの多勢に死を覚悟するが、どこからか助太刀が入る。いや助棒か。そしてとうとう梅軒を倒す。鎌と分銅も二刀と同じ。それを見切ったのだ。
 助太刀の人はお甲の店で寝ていた若者。計画に聞き耳を立てていたのだった。武蔵には見覚えがある。あの塩尻峠で、母に導かれ真剣勝負を挑まれた夢想権之助だったのだ。

 仕掛けられたとは言え、神域での刃傷沙汰。役人に自訴することにした武蔵だったが、用意よく役人たちに縛られてしまう。
 どうもその夜、神社では別の事件があったよう。その下手人として武蔵が捕われた形。その事件は、宝蔵から金銀が盗まれるというものだった。
 伊織と権之助は、盗人の手下と間違われ、逃げるしか道がない。
 追っ手は振り切ったが武蔵が心配なふたり。権之助は伊織に武蔵野の草庵に戻るように諭し、いったん引き返す。

 伊織は夜通し逃げたので、途中の石標の草の中で寝てしまう。
 気がつくと、漆桶を担ぐふたりの旅人。何やら怪しい会話。
 そのふたりとは、奈良井の大蔵と、なんと武蔵と数年前に生き別れた城太郎だった。
 何の気なしに行く方向が同じだった伊織は、彼らの行動にますます怪しみを強くする。二手に別れたので城太郎を追うことにした伊織。城太郎も感づいて、もつれ合う。武蔵の名を口にした伊織に、城太郎は驚きのあまり伊織といっしょに木から落ちて気を失うほどだった。

 そこは奇しくも、武蔵野の草庵のすぐ近く、暴風で倒れた草庵に沢庵がひとり待っていた。そこへ現れた虚無僧。なんと城太郎の実父・青木端左衛門。沢庵は話すうちに、彼が宮本村の西軍残党狩りの指揮官だったことに気付き、青木端左はその後自分の息子・城太郎が武蔵の弟子になったことを知ったのだった。沢庵は端左に恩顧の寺へ行くよう諭し、さっそく教えられた道を急ぐ。
 しばらく歩けば、そこに昏倒している若者ふたり。まさかそのひとりが、自分の息子だとは露とも思わない。すぐひっかえして沢庵に知らせ、また旅の人となってしまった。
 奈良井大蔵は西の隠密活動をしていたのだった。彼に傾倒する城太郎に、沢庵は喝を入れ、今の稼業の否を説いて、これも仏のお導きと父の端左を追うよう諭す。

 沢庵は、伊織といっしょに北条家へ。
 北条安房と示し合わせて、江戸城へ詰める。
 ひとつは、秀忠暗殺の阻止を。
 又八を見つけ出した沢庵は、頭を丸めさせ百叩きの計でオッパナしてしまう。
 ひとつは、武蔵の将軍家お抱えの剣術指南役への推挙。
 これは武蔵が、秩父で前者の濡れ衣を着せられていたこともあり、一挙に事を運んだ形。
 しかし、ここにきてお杉婆が、いろいな官庁や屋敷に「武蔵は仇持ち」だと吹聴して歩いたので、武蔵が御前にまかりこしたときには、沙汰止みとなってしまった。
 武蔵はしかし、これ幸いと自分の未熟を想って、野山に深く隠れ、新たなる修行の道を決心し、伊織も残して身を隠してしまう。
 その折、伊織の形見の巾着を預かっていた武蔵は、権之助にそれを返すようにたのむ。北条家でそれを開くと、そこには書き付けが。沢庵は驚く。なんと伊織には生き別れた姉があり、それは今、柳生の庄にいるお通だったのだ。

 そんなこととは露知らず、柳生の庄ではお通が「武蔵お抱え」の文に、居ても立ってもいられず、江戸へと旅立ってしまう。
 夢想権之助と伊織は、すれ違うように柳生の庄に。
 すれ違いの薄縁を嘆いても始まらない。権之助たちは、権之助の母の供養をするために、女人高野といわれる歴史深い金剛山寺へ。
 そこでは奇しくも、あの本阿弥光悦とその母、妙秀尼と出会い、二組ともに武蔵を想い合う。

 さらに勧められて高野山へ旅するふたりは、道すがら仲良くなった組紐商人と肩を並べる。しかし、彼らの真の姿は九度山の牢人たちだった。
 隠密と勘違いされたふたりは逃げ別れに。権之助は多勢に押さえつけられ、伊織は崖に落ちてしまう。
*   *   *
 武蔵はとうとう秩父で、円明(二天一流)の境地を太鼓のバチに見いだした。
 城太郎は生きていた。でも義賊に身をやつしていた。大蔵に半ば脅された形だったが、沢庵によって救われてよかったなぁ。城太郎といい、又八といい、伊織とお通の仲といい、沢庵さんはいつもオイシイところを持っていくよなぁ。
 さあ、ここ最終章にきて、真田幸村の影がチラホラ。武蔵とどう絡むのか!