2009年7月6日月曜日

雷電本紀

 昨今、地元の英雄といえば“真田幸村”と言われて久しい。でも、もうひとり忘れちゃいませんか!! …というわけではないけれど、たまたま雷電に関する歴史小説があると知って、いろいろ本屋を探したけれど、見つからず結局ネットで注文。
 著者は飯嶋和一さん。その筋では超評価の高い歴史小説家だ。

 話は主に、鍵屋助五郎の視点で進む。
 浅間山が大噴火を起こした天明の大飢饉のころ。彼は海野宿の白鳥神社の奉納相撲で、江戸から招待されたプロの力士をわずか十七歳で投げ飛ばし、歴史の舞台に登場する。彼の強さは民衆に支持され、おすもうさんに赤ん坊を抱いてもらうと、災厄祓いになると言われるようになったのは、雷電がするようになってからのようだ。
 そのころの力士は藩のおかかえで、えばり散らしていたし、八百長相撲が横行していた。そんななか雷電は雲州出雲藩おかかえではあったけれど、実力で勝つ民衆の希望の光となる。
 巡業先の貧しい村へ出かけ、四股を踏み荒稽古を披露し、それが民衆に活力を呼び覚まさせ、病魔払いとなった。うまい例えではないけれど、今で言えばナカタやイチローと言ったところだろうか。
 二十一年間・約三百戦中、わずか十敗。古今無双といわれたからこそ、挑む力士たちも光りを放った。
 しかし時が過ぎ、気がつけば切磋琢磨した仲間たちは去り、修羅を燃やした宿敵たちいなくなっていた。晩年、彼らを祀るために鋳造された鐘楼や鐘が、鍵屋助五郎の死を招く。
 その鐘のコピーが、小諸市の養蓮寺に残っているらしい。

 名もないような村へ出向き、四股を踏み厄を祓い、引退後も地方巡業を続け、最期まで民衆のヒーローであり続けた雷電。ここにも地元の英雄がひとりいる。